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アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦

開催中〜2026/02/08

東京国立近代美術館

東京都・千代田区

開館50周年記念「わたしを呼ぶ《アート》 古代エジプトの棺からシャガールまで」

開催中〜2026/02/08

松岡美術館

東京都・港区

特集展「国立劇場の名品展 鏑木清方、小倉遊亀、東山魁夷、髙山辰雄、加山又造…」

開催中〜2026/02/15

平塚市美術館

神奈川県・平塚市

オルセー美術館所蔵 印象派—室内をめぐる物語

開催中〜2026/02/15

国立西洋美術館

東京都・台東区

マリーナ・タバサム・アーキテクツ展 People Place Poiesis

開催中〜2026/02/15

TOTOギャラリー間

東京都・港区

【特別展】LOVE いとおしい…っ! -鏑木清方の恋もよう、奥村土牛のどうぶつ愛-

開催中〜2026/02/15

山種美術館

東京都・渋谷区

モダンアートの街・新宿

開催中〜2026/02/15

SOMPO美術館

東京都・新宿区

大カプコン展 ―世界を魅了するゲームクリエイション

開催中〜2026/02/22

CREATIVE MUSEUM TOKYO(東京・京橋)

東京都・中央区

企画展  《北斎でひもとく!浮世絵版画大百科》

開催中〜2026/02/23

すみだ北斎美術館

東京都・墨田区

リサ・ラーソンの作り方 展

開催中〜2026/02/23

PLAY! MUSEUM

東京都・立川市

artisansと輪島塗

開催中〜2026/02/23

そごう美術館

神奈川県・横浜市

マチュピチュ展

開催中〜2026/03/01

森アーツセンターギャラリー

東京都・港区

移転開館5周年記念 令和6年能登半島地震復興祈念 工芸と天気展 −石川県ゆかりの作家を中心に−

開催中〜2026/03/01

国立工芸館

石川県・金沢市

小出楢重 新しき油絵

開催中〜2026/03/01

府中市美術館

東京都・府中市

デザインの先生

開催中〜2026/03/08

21_21 Design Sight

東京都・港区

名作展 源流へのまなざし モティーフで見る川端龍子

開催中〜2026/03/08

大田区立龍子記念館

東京都・大田区

開館30周年記念「ドナルド・キーン展 Seeds in the Heart」

開催中〜2026/03/08

世田谷文学館

東京都・世田谷区

ねり美・ふる文コラボ企画       もっと 浮世絵で行こ! 幕末明治の暮らし、娯楽、事件…

開催中〜2026/03/08

練馬区立石神井公園ふるさと文化館 2階企画展示室

東京都・練馬区

企画展「知覚の大霊廟をめざして――三上晴子の インタラクティヴ・インスタレーション」

開催中〜2026/03/08

NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]

東京都・新宿区

ガウディ没後100 年公式事業NAKED meets ガウディ展

開催中〜2026/03/15

寺田倉庫G1

東京都・品川区

いつもとなりにいるから 日本と韓国、アートの80年

開催中〜2026/03/22

横浜美術館

神奈川県・横浜市

横浜美術館コレクション展「子どもも、おとなも! つくるわたしが、つくられる」

開催中〜2026/03/22

横浜美術館

神奈川県・横浜市

出光美術館所蔵 茶道具名品展

2026/02/03〜2026/03/22

大倉集古館

東京都・港区

たたかう仏像

開催中〜2026/03/22

静嘉堂文庫美術館(東京・丸の内)

東京都・千代田区

没後40年 荻須高徳リトグラフ展 ―稲沢市荻須記念美術館コレクション―

開催中〜2026/03/22

八王子市夢美術館

東京都・八王子市

冬、そして春へー「華やぎ」と「侘(わ)び」の調(しらべ)  圏外の眼-伊奈英次の写真世界

開催中〜2026/03/22

荏原 畠山美術館 

東京都・港区

大西茂 写真と絵画

開催中〜2026/03/29

東京ステーションギャラリー

東京都・千代田区

六本木クロッシング2025展:時間は過ぎ去る わたしたちは永遠

開催中〜2026/03/29

森美術館

東京都・港区

アジアの仏たち―永青文庫の東洋彫刻コレクション―

開催中〜2026/03/29

永青文庫

東京都・文京区

Tokyo Contemporary Art Award 2024-2026 受賞記念展「湿地」

開催中〜2026/03/29

東京都現代美術館

東京都・江東区

森重昭と被爆米兵調査-戦争が終わるということ

開催中〜2026/03/31

中央大学 法と正義の資料館

東京都・八王子市

ソル・ルウィット オープン・ストラクチャー

開催中〜2026/04/02

東京都現代美術館

東京都・江東区

開館30周年記念 MOTコレクション マルチプル_セルフ・ポートレイト/中西夏之 池内晶子 —弓形とカテナリー

開催中〜2026/04/02

東京都現代美術館

東京都・江東区

特別展 生誕151年からの鹿子木孟郎 —不倒の油画道

開催中〜2026/04/05

泉屋博古館東京

東京都・港区

藤田嗣治 絵画と写真

2026/02/10〜2026/04/12

茨城県近代美術館

茨城県・水戸市

ミッション∞インフィニティ|宇宙+量子+芸術

開催中〜2026/05/06

東京都現代美術館

東京都・江東区

特集展示「富士山 花と雲と湖と」

開催中〜2026/05/10

半蔵門ミュージアム

東京都・千代田区

テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート

2026/02/11〜2026/05/11

国立新美術館

東京都・港区

画布(キャンバス)に描くまなざし -ホキ美術館風景画展-

開催中〜2026/05/13

ホキ美術館

千葉県・千葉市

SPRING わきあがる鼓動

開催中〜2026/05/31

ポーラ美術館

神奈川県・足柄下郡箱根町

劇場アニメ ルックバック展 —押山清高 線の感情

開催中〜2027/03/29

麻布台ヒルズ ギャラリー

東京都・港区

東京都美術館開館100周年記念 スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき

開催中〜2028/04/12

東京都美術館

東京都・台東区

Exhibitions

魂が宿る「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」

 卓越した画才を持ちながら、生涯に一度も個展などを開くことなく無名のまま生涯を終えた画家、田中一村(1908-1977)。没後7年後の1984年に、NHKの教育テレビ「日曜美術館」で奄美大島で一人、絵の制作に打ち込んだ姿とその作品が紹介されると大反響となった。本展は、神童と称された幼年期から奄美での最晩年の作品まで、また近年発見され初公開となる多数の資料・作品を含む大回顧展となる。

生まれながらの天才画家

 田中一村、私に絵画の魅力を教えてくれた画家である。2001年に開館した奄美大島の「田中一村記念美術館」で出合った作品には魂がみなぎり、心を揺さぶる絵の力を知った。
 
 幼少の頃から絵の才能を発揮し、神童と呼ばれていた一村(本名、孝。彫刻家の父から米邨の号を受ける)。8歳の頃に描いた絵は、繊細な筆遣いが風情を生み出し、その年で描いたとは思えない風格を放つ。父が筆を入れたことが気に入らずその部分を破り取ったというエピソードは、生涯を貫く一村の誇り高さと強くまっすぐな気質を象徴している。
 
 山水画や墨画など10代で描いた掛け軸も多数展示されていて、画の迫力に圧倒される。鶏頭を朱墨のみで描いた《鶏頭図》も印象的だ。10代で熟練の技が光るような大作を描いていた一村は、東京美術学校(現・東京藝術大学)日本画科にストレートで合格、そして2ヶ月で退学する(同大の資料に「退学(家事)」と記録)。一方で、同年に展覧会に出品したり、絵の頒布会である「田中米邨画伯賛奨会」も企画されるなど、この時期、精力的に絵の制作を行っていたという。本展では、曾祖父の小泉又次郎が一時期、後援会会長を務めていたという縁のある俳優、小泉孝太郎が音声ガイドを担当する。

会場風景
会場風景
《不喰芋と蘇鐵》の前で、作品をモチーフにした大島紬に身を包んだ小泉孝太郎(プレス向け内覧会にて)。「一世紀近い時を経て縁のある田中一村さんの仕事に携われたことに驚くと共に光栄」と話した。
《不喰芋と蘇鐵》の前で、作品をモチーフにした大島紬に身を包んだ小泉孝太郎(プレス向け内覧会にて)。「一世紀近い時を経て縁のある田中一村さんの仕事に携われたことに驚くと共に光栄」と話した。

 第一章の最後に展示される《秋色》は、赤や黄の葉、細い木々や実などの濃淡が織りなす、まさに「秋色」。若き日の作品を紹介する第一章の作品の過半数が近年新出したものだという。一村の名が広く知られてから40年、まだまだ研究の途上にあるのだと改めて知らされる。

左から《秋色》(1930年代半ば)《秋色》(昭和10年代)以下、記載のないもの全て絹本着色 田中一村記念美術館蔵
左から《秋色》(1930年代半ば)《秋色》(昭和10年代)以下、記載のないもの全て絹本着色 田中一村記念美術館蔵

 昭和前期、20代の半ば頃から写真に強い関心を持ち、美術資料として役立てていた。所蔵していた岡本東洋撮著「花鳥写真図鑑」にほぼ等しい写真を見出すという色紙絵《立葵に蜘蛛》は、蜘蛛の糸が濃赤色の立葵と葉、全てを覆いつくすように張り巡らされている。白みを帯びた背景ではその全てを確認することはできないが、目を凝らして見えるような蜘蛛の糸が粘り気をはらんだような風合いで感動する。次第に自分でも撮影するようになり、素材の選択や角度、焦点や光線など、絵の制作に生かした。

《立葵に蜘蛛》紙本銀地着色 1940年代半ば 個人蔵
《立葵に蜘蛛》紙本銀地着色 1940年代半ば 個人蔵

 29歳の時、一村の絵の才能を認め支えた親戚の川村幾三を頼って千葉市に移り住む。数えで40歳の年、田中米邨は「柳一村」と画号を改めて、川端龍子主宰の青龍展に《白い花》を出品し、初入選する。これが一村にとって唯一の中央画壇での入選となった。翌年の青龍展に「田中一村」として出品した自信作《秋晴》は落選。参考出品した作品のみが入選したことに怒り、入選を辞退する。金屏風に描かれながも、老樹の小枝や朽ちかけた葉など秋の夕暮れのもの悲しさを見事に描き上げた《秋晴》は圧巻。一村の絵を見ていると、秀逸な筆致とその才能に、幾度となくため息が漏れる。

《秋晴》昭和23年(1948)9月 紙本金地着色 2曲1隻)Ⓒ2024 Hiroshi Niiyama
《秋晴》昭和23年(1948)9月 紙本金地着色 2曲1隻)Ⓒ2024 Hiroshi Niiyama
会場風景
会場風景

一村にしか描けない絵

 47歳の時に九州・四国・紀州を巡り、支援者に風景画の色紙を贈った。大胆な構図で旅先の風景や植物を瑞々しく描いた色紙絵は南国の風を感じる魅力的な作品。中でも私は《足摺狂濤》に田中一村記念美術館で魅了された。陰影をはらんだ複雑な海の色と激しく飛び散る波しぶきの厚みを持った白。岬に身を置いているかのような臨場感に、釘づけになった。本展では写真と共に展示されていて、一村の筆によって魅力が増すことに改めて気づく。

上から《足摺狂濤》(1955年)、写真(足摺岬)一村撮影(1955年 千葉市美術館蔵)
上から《足摺狂濤》(1955年)、写真(足摺岬)一村撮影(1955年 千葉市美術館蔵)

 1958(昭和33)年、50歳で奄美大島に移り住む。紬工場で染色工として働きながら稼いだお金で絵の具を買う。一村は69歳で亡くなるまでの19年間を奄美で過ごし、絵の制作に没頭した。ただ一人、絵と向き合い、亜熱帯の動植物や風景を描き上げていった作品群は一村の代表作となっていく。色鮮やかな魚や鳥、植物が会場壁面の青に映える。

《初夏の海に赤翡翠》昭和37(1962)頃 絹本墨画着色
《初夏の海に赤翡翠》昭和37(1962)頃 絹本墨画着色

 立派な島の海老を細部まで入念に描き込んだ迫力のある画に圧倒され、多数の細い葉が扇状に連なるヤシ科のビロウにハッとする。生命感あふれる奄美の生物が、一村の筆によってエネルギーを増していく。

《海老と熱帯魚》昭和51年(1976)以前 Ⓒ2024 Hiroshi Niiyama
《海老と熱帯魚》昭和51年(1976)以前 Ⓒ2024 Hiroshi Niiyama

 手紙の下書きにのこされていた「私の絵の最終決定版の絵がヒューマニティであろうが、悪魔的であろうが、畫の正道であるとも邪道であるとも何と批評されても私は満足なのです。それは見せるために描いたのではなく私の良心を納得させる為にやったのですから」の言葉。生まれながらの天才画家がたどり着いたのは、何者にもとらわれない絵の神髄だった。
 
 「閻魔大王えの土産物」と記した大作2点をのこす。《アダンの海辺》は静謐な空気が漂いながらも力が満ち満ちていて、「自身の最高傑作を描き上げた」という一村の自信がみなぎっている。《不喰芋と蘇鐵》は亜熱帯の植物がそのエネルギーを存分に発揮し、奄美に魅せられた一村の想いが凝縮されている。2つの作品の、これでもかというほど丹念に描き込まれた描写に、唸る。一村にしか描けない絵。「命を削って描いた」と記した作品を通して、一村がたどり着いた境地を肌で感じるのである。

《アダンの海辺》昭和44(1969)個人蔵 Ⓒ2024 Hiroshi Niiyama
《アダンの海辺》昭和44(1969)個人蔵 Ⓒ2024 Hiroshi Niiyama

 田中一村は、類まれな才能が生きた傑作、魂が宿る稀有な作品とその生きざまで我々の心を揺さぶり続ける。

田中一村 肖像Ⓒ2024 Hiroshi Niiyama
田中一村 肖像Ⓒ2024 Hiroshi Niiyama

(文中敬称略)
執筆・写真撮影(提供写真除く):堀内まりえ
*画像写真の無断転載を禁じます。
*写真は主催者の許可を得て撮影しています。
 
 
<参考文献>
公式図録「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」

田中一村展 奄美の光 魂の絵画
Tanaka Isson:Light and Soul
 
【会期・会場】
2024年9月19日(木)~2024年12月1日(日) 東京都美術館(東京・台東区)
展覧会HP:https://isson2024.exhn.jp/